公務員を辞めるのはもったいない?|理由と転職のメリット・デメリットを解説

公務員からの転職

「人手不足で残業続き。家庭の時間を犠牲にしてまで働く毎日に疲れてしまった」

「評価は年功序列で、どれだけ頑張ってもキャリアが前に進んでいる実感がない」

「子どもが産まれ家庭環境が変わったのに、働き方を柔軟に変えることができない」

安定した収入や社会的信用、手厚い福利厚生がある公務員は、多くの人から羨ましがられる仕事です。

しかし、公務員として実際に働く人の中には、慢性的な人員不足による過度な忙しさやキャリアの停滞を感じ、より柔軟で自由な働き方を求めて転職を考える人も少なくありません。

だからこそ「公務員を辞めたい」「今の環境から抜け出したい」と思う一方で、「せっかくの安定を手放すのはもったいないのでは?」と不安や迷いを感じてしまうのではないでしょうか。

本記事では、「公務員を辞めるのは本当にもったいないのか?」というテーマで、次のポイントを整理して解説します。

本記事でわかること:

  • 公務員を辞めるのがもったいないと言われる理由
  • 公務員を辞めてよかったと感じること
  • 公務員から転職するメリット・デメリット
  • 公務員からの転職を考えた方がよい人考えない方がよい人

この記事を読むことで、あなたが「このまま公務員を続けるべきか」「思い切って新しいキャリアに挑戦すべきか」を判断するヒントが見つかれば幸いです。

  1. 公務員を辞めるのがもったいないと言われる理由
    1. 1. 雇用が安定しているから
    2. 2. 給与とボーナスが安定しているから
    3. 3. 休暇制度や福利厚生が手厚いから
    4. 4. 退職金や定年延長で将来が見えやすいから
    5. 5. 社会的信用が高いから
    6. 6. 公務員試験の合格という“希少な資産”だから
  2. 公務員を辞めてよかったと感じること
    1. 1. 成果に応じた評価・収入アップの可能性
    2. 2. 副業・兼業の自由度が広がる
    3. 3. テレワークや柔軟な働き方ができる
    4. 4. 転勤や人事異動の負担が減る
    5. 5. 専門性を磨き、自分らしいキャリアを築ける
  3. 公務員を辞めて後悔すること
    1. 1. 給与・ボーナスの安定性を失う
    2. 2. 退職金や共済制度の恩恵がなくなる
    3. 3. 休暇制度の手厚さを実感する
    4. 4. 再び公務員に戻るのは難しい
  4. 公務員から転職するメリット・デメリット
    1. 公務員から転職するメリット
      1. 1. 年収アップの可能性
      2. 2. 働き方の柔軟性
      3. 3. キャリアの選択肢が広がる
      4. 4. 成果に応じた評価
    2. 公務員から転職するデメリット
      1. 1. 安定性が下がる
      2. 2. 年収が下がる可能性もある
      3. 3. 退職金や年金制度の変化
      4. 4. 労働環境の違い
  5. 公務員からの転職を考えた方がよい人
    1. 1. 長時間労働やメンタル不調が慢性化している人
    2. 2. 副業や起業に強い関心がある人
    3. 3. リモートワークや柔軟な働き方を重視する人
    4. 4. 専門性を深めてキャリアを築きたい人
    5. 5. 成果に応じた収入アップを望む人
  6. 公務員からの転職を考えない方がよい人
    1. 1. 安定した雇用と収入を最優先する人
    2. 2. 退職金や定年延長の恩恵を重視する人
    3. 3. 育児・介護など生活上の課題が制度で解決できる人
    4. 4. 福利厚生や共済制度を重視する人
    5. 5. 異動や配置換えで解決できる悩みを抱えている人
    6. 6. 経済的リスクを最小限にしたい人
  7. 公務員からの転職を迷っている人からよくある質問
    1. Q1. 公務員は転職市場で需要があるの?
    2. Q2. 転職活動にどれくらい時間がかかる?
    3. Q3. 在職中に転職活動しても問題ない?
    4. Q4. 公務員の強みは民間で評価されるの?
  8. まとめ|「公務員から転職はもったいない?」迷いを整理して判断しよう

公務員を辞めるのがもったいないと言われる理由

1. 雇用が安定しているから

民間企業のように、業績悪化によるリストラや倒産がないのが公務員の大きな特徴です。

懲戒免職などで辞めさせられるケースは全体からするとごくわずかで、よほどの不祥事がない限り雇用は守られます。

この「身分保障の強さ」が、辞めるのは惜しいと周囲に思われる理由です。

2. 給与とボーナスが安定しているから

公務員の給与は「俸給表」に基づいており、勤続年数や評価に応じて毎年着実に昇給していきます。

また、毎年の人事院勧告により、景気変動を大きく受けにくい仕組みになっています。

年2回の期末・勤勉手当(ボーナス)も安定的に支給されるため、家計を立てやすく「辞めるともったいない」と思われやすいのです。

3. 休暇制度や福利厚生が手厚いから

年次有給休暇だけでなく、夏季休暇、結婚休暇、病気休暇、さらには育児休業や介護休暇など、ライフステージに応じて利用できる休暇制度が整っています。

さらに国家公務員共済や地方公務員共済による医療・年金・貸付など、福利厚生も民間に比べて手厚い点が魅力です。

4. 退職金や定年延長で将来が見えやすいから

国家公務員退職手当法や地方条例に基づき、勤続年数に応じた退職金がしっかり支給されます。

また、2023年度から段階的に定年が65歳に延長され、長く安定して働ける環境も整いました。

老後資金の見通しが立ちやすいことも「辞めるのは惜しい」と言われる要因です。

5. 社会的信用が高いから

公務員は収入と雇用の安定性から、金融機関での住宅ローン審査などにおいて有利に扱われやすい傾向があります。

社会的信用が高いため、結婚や住宅購入といったライフイベントでもプラスに働きます。

こうした「信用力」を手放すのはもったいない、と周囲から指摘されやすいのです。

6. 公務員試験の合格という“希少な資産”だから

公務員になるには、倍率の高い採用試験を突破しなければなりません。

厳しい受験を乗り越えて手に入れた地位だからこそ、「一度手放すのはもったいない」という声が上がるのです。

公務員を辞めてよかったと感じること

1. 成果に応じた評価・収入アップの可能性

公務員は年功序列的な昇進・昇給制度が中心で、どれだけ成果を上げても大幅な収入アップは期待しにくい仕組みです。

民間では実力や成果に応じた昇給・昇格が可能で、特に成長産業に移れば年収が大きく伸びるチャンスもあります。

実際、近年の調査では転職によって年収が上がった人は半数以上を占めています。

参考:パーソルキャリアhttps://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2025/20250512_1824/

2. 副業・兼業の自由度が広がる

公務員は法律上の制約から、副業や兼業はほとんど認められません

民間に移れば、企業によっては副業が推奨されるケースもあり、自分のスキルを活かした収入源を増やすことができます。

特に30代以降は「会社の給料だけに頼らない働き方」を選びやすくなる点が魅力です。

3. テレワークや柔軟な働き方ができる

公務員は基本的に出勤が前提で、働く場所を自由に選ぶことは困難です。

一方、民間企業ではテレワークフレックスタイム制を導入しているところも多く、通勤時間の削減や育児・介護との両立がしやすくなります。

家庭環境の変化が大きい30代・40代世代には、時間の柔軟性が大きなメリットとなります。

4. 転勤や人事異動の負担が減る

公務員は数年ごとに部署異動があり、専門性を積み上げにくいと感じる人も少なくありません。

また、家庭や住環境に大きな影響を与える転勤が避けられないケースもあります。

転職後は「転勤なし」の求人や勤務地限定の働き方を選ぶことができ、家族の生活設計を優先しやすくなります。

5. 専門性を磨き、自分らしいキャリアを築ける

公務員は幅広い業務を経験できる一方で、専門性を深めにくい環境でもあります。

民間企業では特定分野のスキルを磨き、キャリアを自分でデザインすることが可能です。

40代以降のキャリア形成において「自分の強みを活かし続けられる環境」を選べるのは大きな魅力です。

「公務員から転職してよかったこと」について、もっと知りたい方はこちらもご覧ください↓

公務員から転職してよかったこと5選|30代後半から40代でも遅くない!
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公務員を辞めて後悔すること

1. 給与・ボーナスの安定性を失う

公務員は人事院勧告に基づいて給与・期末勤勉手当(ボーナス)が安定的に支給されます。

一方、民間では業績や評価によって変動が大きく、思ったほど年収が伸びない、場合によっては下がってしまうことも。

とくに30代後半以降は生活費や教育費が増えるため、収入面のギャップが後悔につながりやすいです。

2. 退職金や共済制度の恩恵がなくなる

公務員の退職手当は勤続年数に応じて手厚く設計されています。

自己都合で中途退職すると支給額が大きく減り、将来の老後資金計画に影響が出る可能性があります。

また、共済組合(KKR)の宿泊割引や医療給付などの福利厚生も離職と同時に失われ、後からそのありがたさに気づくケースも少なくありません。

3. 休暇制度の手厚さを実感する

年20日の有給休暇に加え、病気休暇・夏季休暇・介護休暇・出産関連の特別休暇など、公務員には手厚い休暇制度があります。

民間でも制度は整っているところはありますが、「実際には取りにくい」「社風的に遠慮してしまう」といった事情があり、結果として働きやすさに差を感じて後悔する人もいます。

4. 再び公務員に戻るのは難しい

「やっぱり公務員に戻りたい」と思っても、経験者採用の枠は限られ、倍率も高いのが現実です。

30代以降はチャンスも限られるため、出戻りが難しいこと自体が心理的な不安要因になります。

「公務員から転職して後悔しやすいこと」について、もっと知りたい方はこちらもご覧ください↓

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公務員から転職するメリット・デメリット

公務員から転職するメリット

1. 年収アップの可能性

公務員は年功序列的に昇給しますが、基本的には給与レンジが限られています。

一方、民間では成果やスキルによって年収が大きく変動し、特にITやコンサル、専門職などの成長産業では年収アップが見込めます。

「自分の力を試したい」「より高い報酬を得たい」という人には大きな魅力です。

2. 働き方の柔軟性

テレワークやフレックスタイム、副業解禁など、民間企業では柔軟な働き方を導入する会社が増えています。

公務員は法律上の制約から副業がほとんど認められていませんが、転職すれば本業+副業といった複線的なキャリアを築きやすくなります。

3. キャリアの選択肢が広がる

民間には多様な業界・職種があり、専門性を磨いたり、新しいスキルを習得したりできます。

「地域に根差した仕事を続けるのか」「グローバルに挑戦するのか」など、キャリアの幅を自分の意思で設計できるのは民間ならではの強みです。

4. 成果に応じた評価

公務員は公平性を重視するため、評価制度は横並びになりがちです。

民間企業では、成果やリーダーシップが正当に評価されやすく、頑張りが給与や昇進に直結する点がモチベーションにつながります。


公務員から転職するデメリット

1. 安定性が下がる

最大のデメリットは、雇用と収入の安定性が低くなることです。

公務員のような「身分保障」はなく、業績次第でリストラや減給のリスクがある点は覚悟が必要です。

2. 年収が下がる可能性もある

特に30代後半〜40代の転職では、即戦力性が求められる一方で、未経験分野に挑戦する場合は年収ダウンのケースも少なくありません

「年収アップ」だけを期待するとギャップが生じやすいので注意が必要です。

3. 退職金や年金制度の変化

公務員特有の退職金制度や共済年金(年金払い退職給付を含む)は、民間に転じると途切れる部分があります。

勤続年数が短い段階で辞めると退職金が大幅に減額されるため、辞めるタイミングは慎重に考える必要があります。

4. 労働環境の違い

民間は残業時間や休日出勤など、職場によって労働環境が大きく異なります。

「前職より忙しい」「人間関係が合わない」といった理由で早期離職するケースもあるため、企業研究と自己分析が欠かせません。

公務員からの転職を考えた方がよい人

ここでは、特に転職を現実的に考えた方がよい人の特徴を整理しました。

1. 長時間労働やメンタル不調が慢性化している人

公務員は人員不足や業務量の偏りから、長時間残業や休日対応が続く部署も少なくありません。

特に30代以降は家庭責任も増えるため、健康や家族時間を犠牲にし続けている場合は、転職を検討する一つのサインになります。

2. 副業や起業に強い関心がある人

法律上、公務員の副業は厳しく制限されており、収益化を目的とした活動は原則できません。

「自分のビジネスを持ちたい」「将来は独立したい」と考える方にとって、この制約は大きな壁になります。副業・起業の自由度を求めるなら、民間への転身は選択肢の一つです。

3. リモートワークや柔軟な働き方を重視する人

近年、公務員組織でもテレワークが導入されつつありますが、自治体や職種によって差が大きく、柔軟性に限界があるのが現実です。

「フルリモートで働きたい」「育児や介護と両立したい」といったニーズが強い場合は、柔軟な制度を整えている企業の方が適しています。

4. 専門性を深めてキャリアを築きたい人

公務員は数年ごとの異動で幅広い業務を経験する一方、専門スキルを一点集中で磨く環境は限られます。

特定分野での市場価値を高めたい、専門職としてキャリアを積みたいと考える方は、専門性を評価する民間の方が適しているケースがあります。

5. 成果に応じた収入アップを望む人

公務員の給与は年功序列色が強く、大幅な収入増は難しい仕組みになっています。

「頑張った分だけ評価されたい」「収入を短期間で伸ばしたい」と考える方には、成果主義を採用する民間企業の方がフィットしやすいでしょう。

公務員からの転職を考えない方がよい人

ここでは、むしろ転職を考えない方がよい人の特徴を整理しました。

1. 安定した雇用と収入を最優先する人

公務員の最大の魅力は「雇用の安定性」です。

民間企業では業績不振によるリストラや早期退職のリスクがある一方、公務員は法律で身分が強く守られています。

住宅ローンや教育費など、長期的に安定した収入を必要とする家庭では、公務員として働き続けるメリットは大きいといえます。

2. 退職金や定年延長の恩恵を重視する人

近年は定年延長や再任用制度が整備され、長く働くほど退職手当も増える仕組みになっています。

定年まで勤め上げることを前提にすれば、退職後の生活設計が立てやすく、経済的な安心感が得られます。

数年以内に定年や昇進が見込める人は、今すぐ転職するより残る方が合理的な選択です。

3. 育児・介護など生活上の課題が制度で解決できる人

公務員には、育児休業や時短勤務など、多様なライフステージを支える制度が整っています。

もし今の悩みが「家庭との両立」であれば、転職よりもまずは制度を活用して環境を整える方が賢明な場合があります。

4. 福利厚生や共済制度を重視する人

医療費の自己負担軽減や休業補償など、公務員共済制度は民間に比べて手厚い面があります。

特に家族を持つ人にとって、こうした保障は長期的な安心につながります。

転職するとこれらの恩恵を失うため、福利厚生を大切にしたい人は現職に残る方が適しています。

5. 異動や配置換えで解決できる悩みを抱えている人

「今の部署が合わない」「業務内容に不満がある」といった悩みであれば、転職ではなく異動で改善できる可能性があります。

公務員には数年ごとのローテーションがあり、キャリアの幅を広げる仕組みが整っているため、環境を変えるだけで気持ちが前向きになるケースもあります。

6. 経済的リスクを最小限にしたい人

民間転職では試用期間や成果主義の給与体系など、不確実性が伴います。特に30代後半以降は「未経験分野への転職」のハードルも高まるため、安定を第一に考える人にとっては現職にとどまる方がリスクは低いといえます。

公務員からの転職を迷っている人からよくある質問

Q1. 公務員は転職市場で需要があるの?

A.

公務員経験は「調整力」「事務処理能力」「法令遵守意識」といった強みとして評価されます。公的機関で培ったスキルが活かせるケースも少なくありません。

ただし、30代以降の転職では、即戦力が求められるため、民間で通用するスキルを「言葉に変換」する工夫が必要です。

Q2. 転職活動にどれくらい時間がかかる?

A.

30代以上で公務員から民間に挑戦する場合、書類作成から内定までおよそ3〜6か月を要するケースが一般的です。

民間の選考はスピード感がありますが、在職中に準備する場合は十分な時間を確保しましょう。

Q3. 在職中に転職活動しても問題ない?

A.

法律上は禁止されていませんが、在職中は職務専念義務や利益相反に注意が必要です。

勤務時間外で活動し、職務と利害関係のある企業とは接触を避けましょう。

Q4. 公務員の強みは民間で評価されるの?

A.

評価されます。ただし「役所で〇〇を担当していました」だけでは伝わりません。

例えば「予算○億円の事業を担当し、関係者20部署との調整で処理期間を30%短縮した」というように、成果を数字や具体的な事例で表現することが大切です。

まとめ|「公務員から転職はもったいない?」迷いを整理して判断しよう

公務員は安定した雇用や収入、福利厚生といった大きなメリットがあり、「辞めるのはもったいない」と言われるのも事実です。

一方で、成果が正当に評価されにくい環境や、柔軟な働き方の制限に不満を抱き、転職して新しいキャリアを築いたことで「挑戦してよかった」と感じる人もいます。

つまり、公務員から転職するべきかどうかは「あなたが何を優先したいか」によって答えが変わります。

安定や制度の恩恵を重視するなら残る選択肢も正解ですし、柔軟な働き方や収入アップ、自分らしいキャリアを追求したいなら転職は有力な道です。

迷っている方は、「もったいない」という周囲の声だけで判断せず、自分の価値観や将来設計を軸に考えることが大切です。

以下の記事では、転職を考える際の「転職の軸」や、転職活動を有利に進める「転職エージジェント」について解説しています。

転職に迷いを感じている人は、ご覧ください。

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