「この先、何十年もこの組織にいるなんて考えられない」
「公務員を辞めて転職すれば、今感じている嫌なことは解決するはず」
「今のご時世、公務員よりも民間に転職した方がいいのではないか」
このように考えている公務員の方も多いのではないでしょうか。
かつては僕もそうでした。
しかし、転職は決して“魔法のような解決策”ではありません。
実際に転職して、「思っていたのと違った」、「やっぱり公務員の方がよかった」と後悔する人も多いのです。
本記事では、公務員から転職して後悔した5つの理由を実体験に基づいてお伝えします。
転職に先立ち、あらかじめポイントを抑えておくことで、後悔する転職を回避することができます。
僕自身、新卒から都道府県庁で約15年公務員として働き、民間企業へ転職しました。
正直、転職して「これは想定外だった」「公務員の方がよかったかも…」と感じる場面もあります。
30代〜40代で転職を考えるあなたが、後悔しない選択をするためのヒントになれば幸いです。
公務員から転職して後悔した5つの理由
当然ですが、民間に転職したからといって、すべてがバラ色になるわけではありません。
公務員ならではの「恵まれた環境」に気づかずに転職すると、後悔につながることもあります。
①社会的信用や知名度の低下
公務員の方はなかなか気づかない、忘れがちかもしれませんが、「公務員」という肩書きは、社会的知名度や信頼性において、とにかくバツグンです。
初対面の人に自身の勤め先を紹介するときには、大概、相手に好印象を与えられます。
思い返すと、僕も結婚前に妻のご両親に挨拶に行った際は、公務員であることで安心感を与えられていたのだと思います。
一方で、転職してからの現職は、公務員に比べたら知名度は高くなく、会社名を出しても相手が知らないケースもよくあります。
ただ、他人からどう思われるか、どう評価されるのかを気にするのは、他人軸での生き方というもの。
「自分がどう生きたいのか」の方が本質的で重要であると僕は考えています。
肩書きに依存しない職業人生を選ぶ覚悟があれば、このギャップも気にならないでしょう。
②仕事のやりがいへの違和感|公共性から利益追求へ
公務員は市民のために働いているという社会的意義や公共性があり、社会貢献度の高い職業です。
一方、民間は「利益」追求が最優先。
そこにギャップを感じて、最初は戸惑うこともありました。
(公務員の仕事も突き詰めれば市民満足の最大化を図るという点で利益追求なのだとは思いますが。)
「仕事内容にあまりやりがいを感じていない」というのが正直なところです。
ただし、これは想定内でした。
というのも、転職活動で定めていた「転職の軸」として「仕事に対するやりがい」は最優先ではなかったからです。
(転職で「何を優先すべきか」迷う方は、関連記事公務員としての働き方に限界を感じたときに考える「転職の軸」【30代後半〜40代】をご覧ください)

僕にとっては育児と両立できるワークライフバランスを重視していたからです。
そもそも、思い返しても、公務員で2〜3年ごとの異動で関わった様々な仕事のいずれに対してもやりがいを感じていたかというと、そんなこともなかったなと思います。
やりがいを持って取り組めたのは、数えられるくらいの業務でした。
この「仕事へのやりがい」は現職で抱いている課題であり、今後、もしかしたら次への転職、あるいはフリーになる「転職の軸」になりうると感じています。
少なくとも子どもが小さい今は、「自分の仕事は、仕事を終わらせること」をモットーに、効率的に仕事を進め、生産性を高めることを常に意識し、早く帰ることに注力しています。
あなたも、「何を優先するか=転職の軸」を事前に明確にしておくことが、後悔を減らす大切なポイントです。
③組織風土の違い|年功・上意下達
僕が転職した先は、古い企業あるあるで、「年功序列」や「上司は絶対」という文化が色濃く残る職場でした。
これは公務員のときと同様で、やはり居心地の悪さを感じるところ。
ただし、これから先もずっと勤めるとは限らないので、変に媚びへつらう必要はありません。
淡々としているに限ります。
こうした人たちが、今の職場を支えてきた側面もあるわけで、自分はポッと転職してきて、いずれいなくなってしまうかもしれない人材なので、とやかく言うこともできないかなという心境でいます。
組織風土は、会社ごとのカラーにもよるので、事前の情報収集が肝心です。
面接で感じた雰囲気や口コミなどを通じて、自分が合う文化かどうかを見極めてください。
④労働条件(休日出勤・通勤時間)の落とし穴
休日出勤による週末の拘束
現職では、週末の休日出勤が月に2、3回。
休日の子どもとの時間を削られることに対して、少なからずストレスを感じています。
と言うのも、市町村などの基礎自治体であると選挙や地域活動にかり出されるので休日出勤も多いと思うのですが、都道府県庁で勤務していた僕は、公務員時代に休日出勤は数える程しかなかったのです。
(若手時代にどうしても仕事が終わらず、土日出勤したくらいでした。)
休日出勤があることは入社前の条件提示の際に把握しており、振替休暇も取れるから仕方ないと割り切った点でした。
しかし、実際には、せっかく保育園が休みで休日が重なる貴重な週末を一緒に過ごせないことがあるというのは、思っていた以上にストレスでした。
通勤時間が約2時間
転職直後、最初の勤務地がなんと自宅から片道2時間程。
公務員時代は本庁勤務が長かったこともあり、本部でなく支部に行くことはないであろうと高を括っていたため、完全に盲点でした。
当時はなかなかキツかったですが、通勤中は読書の時間に充てようと前向きに捉えました。
半年後、本部へ移動となったものの、これがずっと続いていたら長時間通勤には耐えられなかったかも知れません。
「土日、祝日に勤務はあるのか?」、「勤務地はどこになるのか?」ということは、事前に必ず確認しておくべきポイントです。
⑤収入の減少
公務員から民間企業に転職する少なからずの人が直面する「収入の減少」。
僕自身は年収の下がらない転職先を探していたため、収入の減少はおきませんでした。
(その分、転職先は絞られ、転職自体の難易度が上がりました・・・)
一般論になりますが、30代後半〜40代で転職する場合、年功序列で上がってきた給与水準を維持するのは難しいのが現実です。
公務員の給与は、勤務年数に応じて安定的に上昇していく仕組みです。
一方、民間企業では「成果主義」が基本であり、入社初期は評価を得るまでに時間がかかります。
そのため、転職直後は年収が50万〜100万円ほど下がるケースも少なくありません。
とはいえ、これは「ずっと収入が下がる」という意味ではありません。
実績を積み上げて評価されれば、成果に応じて年収が上がるチャンスも。
数年で年収を取り戻す人も多くいます。
また、民間企業では賞与の支給額が業績に左右されるため、景気の影響を受けやすい点にも注意が必要です。
公務員時代のように「毎年ほぼ決まったボーナスが支給される」とは限りません。
後悔しない転職のために必要な3つの準備
僕が伝えたいのは、「転職=すべてが良くなる魔法」ではないということです。
逆に、公務員の良さが見えてくることもあるのです。
では、どうすれば後悔しない転職ができるのか?
① 転職の理由と目的を明確にする
「今の職場が嫌だから」ではなく、
- なぜ転職したいのか?
- どんな働き方を実現したいのか?
を自分の言葉で明確にすることが、後悔を防ぐ第一歩です。
② 自分の「転職の軸」を持つ
- 「なぜ転職したいのか?」を明確にする
- 「どんな働き方を実現したいのか?」を具体化する
- 自分の価値観(お金・やりがい・時間など)を棚卸しする
これらをはっきりさせておけば、「思っていたのと違った…」という後悔はかなり防げます。
③ 情報収集を怠らない
- 転職エージェントに相談する
- 実際に転職した人の体験談を聞く
- 求人票や企業HPの「裏側」も読み解く
転職活動は“人生の戦略”です。
自分一人だけで判断せず、信頼できる第三者からのアドバイスも大いに活用してください。
公務員から転職して「よかった」と感じる瞬間はもっと多い
これまで、公務員から転職して後悔した点を解説してきました。
しかし、実際に転職してみると、それを上回る「よかった」と感じることの方が多いのも事実です。
たとえば、ワークライフバランスが大きく改善したことや、副業・スキルアップへのチャレンジができるようになったことなど。
公務員時代には得られなかった自由や成長の機会を実感することが少なくありません。
公務員から転職してよかったことは、関連記事公務員から転職してよかったこと5選|30代・40代でも後悔しない理由を実体験で解説もあわせてご覧ください。

まとめ|転職ですべてが良くなるわけではない
公務員から転職することで、自由な働き方や新しい挑戦が得られる一方で、後悔するポイントもあります。
- 社会的信頼の低下
- やりがいの違い
- 組織文化のミスマッチ
- 労働条件の変化
これらを理解し、しっかりと準備をしておけば、後悔のリスクを大幅に減らすことができます。
「なぜ転職したいのか」「どんな働き方をしたいのか」を明確にし、後悔のないキャリア選択をしてください。
あなたがこれからキャリアを見直す上で、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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