職務経歴書に書ける実績がない人向け書き方と例文|転職したい事務職公務員に実体験から解説

公務員からの転職

「公務員からの転職を目指して、一念発起し転職活動を始めたものの、職務経歴書にうまく書けず苦戦している」

「これまでの仕事で数字で語れる実績がそもそもない」

「やはり公務員での職務経験は、民間では通用しないかと思い、自身を失いかけている」

公務員から転職活動を始めてこのように感じている方も多いのではないでしょうか。

職務経歴書は転職が初めての方にとって、大きな壁。

そこで、これまでのあなたの業務を民間企業が求めるスキルに翻訳し、採用担当者から評価される職務経歴書の作り方を解説します。

本記事でわかること:

  • 公務員が職務経歴書に書ける実績の見つけ方
  • 実績がない事務職公務員が勝てる職務経歴書の例文

これまでの公務員での業務から職務経歴書で使える実績の見つけ方と書き方をわかりやすくお伝えします。

私自身、都道府県の公務員として約15年勤務したものの、これといった専門性やスキルがないと感じていましたが、本格的な転職活動を初めて3ヶ月足らずで2社から内定をもらい、40歳目前で民間へ転職を果たしました。

今では、子育てと両立して仕事をすることができています。

そんな僕の経験を基にした本記事を読むことで、あなたのこれまでの経験から、転職できる職務経歴書が書けるようになります。

ぜひ最後まで読んでください。

公務員が職務経歴書の実績を書くのが難しい理由

「民間みたいな売上もないし…」

「そもそも成果って何を書けばいいの?」

そう感じるのは、あなたの能力不足ではありません。

公務員という仕事そのものが、実績を書きにくい形になっていることが大きな理由です。

ここでは、なぜ公務員は職務経歴書の実績を書くのが難しいのか整理します。

1.成果が数値化しにくい仕事が多いから

民間企業の職務経歴書では、 「売上〇%アップ」「コスト△円削減」「顧客数〇人増」など、 数字で語れる成果が重視されます。

一方、公務員の仕事はどうでしょうか。

「住民サービス」「制度運用」「法令手続き」「政策実施」など、短期的な数字に直結しにくい業務が中心です。

「問題なく回っていること」自体が成果であるケースも多く、 数字として表現しづらい構造になっています。

その結果、「頑張ってきたはずなのに、実績として書けるものが思いつかない」という状態に陥りやすくなります。

2.実績が個人ではなく組織に帰属しやすいから

公務員の仕事は、基本的にチーム・部署・組織単位で進められます。

  • 複数部署との調整
  • 上司決裁・合議制
  • 法令や前例に基づく運用

こうした環境では、「自分一人の成果」として切り出すこと自体に、抵抗感を覚える人も少なくありません。

その結果、

「自分がやったことをアピールするのは気が引ける」

「これは個人の実績と言っていいのか分からない」

と悩み、実績欄が薄くなりがちです。

3.ミスなく正確にこなすことが評価されやすいから

公務員の仕事では、「正確性」、「公平性」、「法令遵守」、「前例との整合性」が強く求められます。

つまり、挑戦して成果を出すよりも、問題を起こさないことに価値が置かれやすい世界です。

そのため、確実に処理することが求められ、実績として語るのが難しくなりやすいと言えるのです。

4.異動が多く、成果を積み上げにくいから

30代以降の公務員は、数年おきの異動が珍しくありません。

・担当業務が変わる

・分野がガラッと変わる

・専門性が分散する

このようなキャリアでは、一つの分野で成果を積み上げて語るのが難しくなります

結果として、「どれも中途半端に見える」「軸のない経歴に感じる」と自分で自分を評価してしまい、実績を書きづらくなります。

5.民間の採用担当に伝わりにくいから

最後にもう一つ重要なのが、読み手(民間企業)が業務を想像しづらいという点です。

行政特有の用語や制度は、民間の採用担当者にとって馴染みがありません

その結果、

・価値が伝わらない

・難易度が伝わらない

・貢献度が見えない

という状態になり、「実績が弱い」と誤解されてしまうこともあります。

公務員が職務経歴書に書ける実績の見つけ方

「公務員の仕事は成果が見えにくい」

「数字で語れる実績なんてない」

 転職を考え始めた公務員の多くが、ここで手が止まります。

ですが結論から言うと、実績がない公務員はいません。

 “見つけ方”と“切り取り方”を知らないだけです。

ここでは、民間企業でも評価されやすい形で、公務員の実績を見つけ出す具体的な方法を解説します。

1.まずは業務の棚卸しから始める

最初にやるべきは、「そのまま載せる文章」を考えることではありません。

これまでやってきた仕事を、評価・選別せずに書き出すことです。

オススメは、次のような視点で洗い出すこと。

  • 担当してきた業務(定常業務・突発業務)
  • 大変だったと感じた仕事
  • 周囲から感謝された・頼られた場面

この段階では、「実績っぽいかどうか」は一切考えなくてOKです。

2.仕事をプロジェクト単位で切り取る

棚卸しができたら、次に注目したいのがプロジェクト性のある仕事です。

公務員の業務はルーティンが多い一方で、実績化しやすいのは、次のような期間・目的・関係者のある仕事です。

  • 制度改正・新制度の導入対応
  • 予算要求
  • イベント・説明会の運営
  • 委託業務
  • 窓口改善・業務フロー見直し
  • 監査・検査対応

など、これらはすべて、「課題 → 対応 → 結果」がセットで語れる=実績にしやすい仕事です。

3.実績を具体的に説明する変換のコツ

公務員の経験として「〇〇課で窓口業務を担当」と書いても、残念ながらその価値は伝わりません。

実績を具体化し、採用担当者に「この人は自社でも活躍してくれそうだ」と思わせるための方法を解説します。

① 「数字」と「比較」で客観性を持たせる

民間企業は「成果を数値で測る」文化です。

売上目標がない公務員の仕事でも、以下の3つの視点なら必ず数値化できます。

  • 「量」の可視化:
    (例)「膨大な書類を処理した」→「年間約3,000件の申請書類を、不備なく審査・承認」
  • 「時間」の短縮:
    (例)「業務の効率化を図った」→「決裁フローを見直し、承認までの日数を5日から2日へ、60%短縮」
  • 「規模」の提示:
    (例)「イベントを運営した」→「予算300万円、動員数1,000人規模の地域振興プロジェクトを主導」

また、数字が出せないような場合、Before・Afterの比較で説明します。

  • 属人化 → 標準化
     Before:担当者ごとにやり方が違っていた
     After:手順を整理し、誰でも対応できる状態にした
  • 混乱 → 安定運用
     Before:問い合わせや差し戻しが多かった
     After:説明資料を整備し、混乱が起きにくくなった
  • 情報分散 → 一元管理
     Before:資料や履歴がバラバラで確認に時間がかかっていた
     After:情報を集約し、すぐ確認できるようにした
  • 後追い対応 → 予防対応
     Before:問題が起きてから対応していた
     After:想定トラブルを整理し、未然に防げるようにした

ただし、可能であれば、 「約〇件」「月平均」「従来比」など目安の数字を添えられると、やはり説得力は増します。

② プロセスを「STAR法」で構造化する

実績を説明する際、30代以上のミドル層に求められるのは「再現性」です。

つまり「たまたま成功したのではなく、次も同じように成果を出せるか」という点。

これを証明するために、以下のSTAR法を使う方法が有効です。

  • S(Situation:状況): どんな課題(例:残業の常態化、クレーム増)があったか
  • T(Task:課題): 解決すべきミッションは何だったか
  • A(Action:行動): 周囲をどう巻き込み、どんな独自の工夫をしたか
  • R(Result:結果): 最終的にどんなプラスの変化が起きたか

また、特に公務員の方は「周囲(他部署や住民)との合意形成プロセス」を丁寧に書くと、民間での「チームリーダー候補」としての評価につながります。

4. 公務員が実績として拾いやすい代表パターン

実績を探すときは、次のパターンに当てはまらないかを確認してください。

  • 業務改善・効率化(フロー見直し、マニュアル化)
  • 関係者調整(庁内外との調整、合意形成)
  • トラブル対応・リスク低減(クレーム、監査、事故防止)
  • 委託・契約(仕様調整、コスト意識)
  • 後輩指導・引き継ぎ整備(属人化解消)

これらはすべて、 民間企業でも再現性のあるスキルとして評価されやすい実績です。

5. 応募先で活かせる実績を選ぶ

最後に重要なポイントです。

職務経歴書は、自分史ではありません。
棚卸しした実績の中から、

  • 応募先が求めていそうな能力
  • その会社・職種で活きる経験

に合うものだけを取捨選択して載せるのが正解です。

30代以降の転職では、 「何をやってきたか」以上に「何ができる人なのか」を見られています

「実績がない事務職公務員」が勝てる職務経歴書の例文集

民間企業が見ているのは“派手な成果”ではなく、再現性のある仕事力。

ここでは、実績がない事務職公務員でも、評価されやすい“勝てる例文”を厳選して紹介します。

業務改善・標準化の実績

例文①|属人化解消

担当者ごとに処理方法が異なっていた【○種類】の定型業務について、手順と判断基準を整理し、【A4・○枚】の手順書を作成。異動による業務の配置換えがあっても、業務の安定化に貢献。

例文②|業務フロー見直し

月間【約○件】発生する定型処理業務について工程を見直し、不要な確認作業【○工程】を削減。繁忙期でも滞留が起きにくい業務フローを構築した。

ミス防止・リスク低減の実績

例文③|差戻し削減

書類差戻しが多かった申請業務(年間【約○件】)について原因を整理し、受付時の確認項目を【○項目】追加。差戻し件数を【○割程度】抑制した。

例文④|確認精度向上

処理ミスが発生しやすい業務について、過去【○年分】の事例をもとに注意点を整理。チェック方法を見直し、ミス発生頻度の低減に寄与した。

住民・利用者対応に関する実績

例文⑤|窓口対応の改善

1日平均【○件】対応する窓口業務において、説明順と資料提示方法を統一。対応時間のばらつきを抑え、混雑時間帯でも安定した対応を実現した。

例文⑥|問い合わせ対応の効率化

電話・窓口で多い問い合わせ内容【上位○項目】を整理し、説明方法を改善。再問い合わせの発生を抑え、対応工数の削減につなげた。

調整・サポート業務の実績

例文⑦|庁内調整

関係部署【○部署】が関わる案件について、前提条件と期限を整理した調整資料を作成。認識のズレを防ぎ、手続きの遅延防止に貢献した。

例文⑧|会議運営支援

年間【○回】実施される会議体の運営を担当。事前の論点整理と資料確認を行い、会議時間の長時間化を防ぎ、円滑な進行を支えた。

プロジェクト管理・推進業務として評価される実績

例文⑨|期限管理・進行管理

複数業務【同時○案件】を並行して担当する中で、期限管理表を作成し進捗を可視化。期限遅延を発生させることなく業務を完遂した。

例文⑩|イベントの推進

予算削減の影響で、例年のイベント規模維持が困難な状況で、民間企業の協賛を募る仕組みを提案し、自ら【○社】と交渉した結果、民間協賛金として【○万円】を確保。予算規模を維持したまま、来場者数を前年比【○%】に増加させ、プロジェクトを完遂。

部下育成・指導、人員マネジメント・チーム運営

例文11|若手・新任職員の育成

新任職員【○名】のOJTを担当し、業務手順書と定期面談を実施。配属後【○か月】で単独処理できる業務範囲を拡大した。

例文12|係長としてのチーム管理

係長として【○名】の職員をマネジメント。業務分担と進捗管理を行い、繁忙期(月間【約○件】対応)でも業務が滞留しない体制を構築した。

例文13|管理職としての組織運営

課長として【○係・計○名】の職員を統括。業務優先順位を明確化し、年度内に発生する主要業務【○件】を計画どおり遂行した。

まとめ|実績がないと悩む公務員でも大丈夫

職務経歴書に書ける実績がないと感じるのは、あなたの能力不足ではありません。

公務員の仕事は「売上」や「利益」といった数字で評価されにくく、成果が見えにくい構造になっているだけです。

実際には、業務改善、調整、安定運用、ミス防止など、民間でも高く評価される経験を、日々積み重ねています。

大切なのは、特別な実績を新しく作ることではなく、これまでの業務を民間企業が理解できる言葉に変換すること

数字や比較、プロセスを使って具体化すれば、事務職公務員の経験は十分に通用します。

「実績がないから転職できない」のではなく、実績の見つけ方と書き方を知らないだけ

本記事を参考に、自分の仕事を一度整理してみてください。あなたの経験は、正しく伝えれば転職市場で確かな武器になります。

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