「公務員から転職したいけれど、面接で何を聞かれるのか不安」
「民間経験がなくて自己PRができるか心配」
「面接で失敗したらどうしよう…」
転職活動を進める中で、こうした悩みを抱える方は少なくありません。
本記事では、公務員から転職する際に面接で重視されるポイントやよく聞かれる質問例、答え方のコツ、そして事前準備や面接後の振り返り方法を解説します。
本記事でわかること
- 面接で企業が見ているポイント
- 公務員が転職の面接で失敗する理由
- 面接の流れとポイント
- 民間企業へ転職するために必要な面接対策
この記事を読むことで、効果的な面接対策がわかるようになります。
実際に30代後半で公務員から民間へ転職した筆者も、狙い通りの転職ができました。
これから面接を受ける方はぜひ参考にしてください。
公務員から転職する人が面接で企業が見ているポイント
面接を通して、企業は「あなた」を知ろうと様々な質問をしますが、主に「再現性」と「継続性」を見極めようとしています。
面接では、「再現性」、「継続性」を意識した受け応えが大切です。
ポイント① 再現性
「再現性」とは、前の職場での活躍が、うちの会社でも再現できるか、ということです。
再現性を重要視するのは、中途採用では即戦力の人材を求めている、ということに他なりません。
ポイント② 継続性
「継続性」とは、長くうちの会社で働き続けてくれるか、ということです。
採用には、費用や時間といったコストがかかるもの。
採用してもすぐやめられてしまうと、会社にとって大きな損失となります。
特に、あなたがまさに今、転職活動をしているということ自体が、継続性を懸念しているのです。
公務員から転職する人が面接で失敗しやすい理由
成果を“数字で”語れない
民間企業の面接では、「自分がどんな行動を取り、どんな成果を出したか」を数字や具体例で説明することが求められます。
ところが、公務員の仕事はチームでの調整業務や長期的なプロジェクトが多く、成果を定量化しにくいため、「結局あなたが何を成し遂げたのか」が伝わりにくいのです。
志望動機が抽象的になりがち
「安定よりも挑戦をしたい」「民間でスキルを磨きたい」といった理由だけでは説得力に欠けます。
企業は「なぜこの業界なのか」「なぜ自社なのか」「入社後にどう貢献できるのか」を具体的に知りたいのです。
ここが曖昧なまま面接に臨むと、面接官に響きません。
構造化面接への準備不足
近年の民間採用では「構造化面接」や「コンピテンシー面接」が主流です。
過去の行動を深掘りされ、「そのときどんな課題があり、どう解決し、どんな結果を出したか」を問われます。
公務員はこうした形式に慣れておらず、エピソードを整理できていないまま答えてしまうことが多いのです。
構造化面接:
構造化面接とは、自社の採用要件を明確にしたうえで、あらかじめ決めておいた質問項目や評価基準に沿って面接を進める手法
出典:構造化面接は採用に有効?導入される理由やメリット、質問例をまとめて解説https://corp.miidas.jp/assessment/660/
コンピテンシー面接:
コンピテンシー面接とは、成果を生み出す行動特性を評価する面接方法。応募者が何を考 えどう行動するのかをもとに、能力や適性を判断します。
出典:コンピテンシー面接とは? 質問例と評価方法、手順、評価シート
https://www.kaonavi.jp/dictionary/competency_mensetsu
ジョブ型採用とのミスマッチ
民間企業では、募集職種に直結するスキルや経験が強く求められます。
ところが、公務員は幅広い分野でジョブローテーションを経験していることが多く、専門性をアピールするのが難しい傾向があります。
その結果「この職種で即戦力になれるのか?」という疑問を持たれてしまうのです。
スピード感や変化対応力への不安
公務員の仕事は法令や手続きに基づくため、どうしても意思決定に時間がかかります。
一方、民間企業ではスピード感と柔軟な対応が求められるため、「果たして環境の変化についていけるのか」という懸念を払拭できないと不利になります。
民間転職での面接の流れと聞かれること
面接の流れで聞かれることは、どの企業においても、概ね以下の流れに集約されます。
①自己紹介
自己紹介で大事なのは、簡潔に話すことです。
面接においては、自己紹介は「挨拶」のようなもの。
話しすぎると、面接全体の流れが乱れてしまいますので、1分程度で簡潔に話すようにしてください。
②職務経歴
職務経歴では、これまでどんな仕事をしてきたかを伝えます。
質問例としては、次のようなものです。
「今までどんな仕事を経験してきましたか?」
「その中で、どんな強みを身に付けましたか?」
「これまでで、最も困難な仕事は何でしたか?またどうやってそれを乗り越えましたか?」
上記のような質問への受け応えで求められるのは、自己PRをすることです。
そして、その自己PRによって、「再現性」(御社でも再現性を持って活躍できる)をアピールしていくことが重要となります。
公務員から転職する人向けの自己PRについては、詳しくは、公務員から転職する人必見!自己PRの書き方と例文|履歴書・職務経歴書で使えるポイント解説もご覧ください。

③志望理由・転職理由
志望理由
志望理由の質問例としては、次のようなものです。
「なぜ、◯◯業界を志望しましたか?」
「どうして、◯◯業界の中でも弊社を志望しましたか?」
こうした質問を通して、「継続性」(御社で長く働き続ける)をアピールします。
転職理由
下記が転職理由の質問例です。
「なぜ、転職しようと思ったのですか?」
「なぜ、前職を退職しようとおもったのですか?」
こちらも志望理由と同様、あなたの「継続性」を見るものです。
ここで注意したいのは、前職の悪口を言ってしまうことです。
転職する人のほとんどが、前職に対して不満を持っているものですが、転職理由として不平不満を挙げるのは印象がよくありません。
「今の会社よりも、御社の方が◯◯の面で自分に合っている」というニュアンスで伝える方が良いでしょう。
公務員から転職の志望動機については、詳しくは例文付き!公務員から転職の志望動機|選考突破できる書き方・伝え方をご覧ください。

④逆質問
面接の最後は、逆質問で締められることが多いです。
「弊社について、何か質問はありますか?」
この質問に「特にありません」だと、せっかくのアピールのチャンスを無駄にしてしまいます。
また、
- 調べればすぐわかる内容
- 年収や待遇
- 即答が難しい質問
といった質問も避けた方がよいでしょう。
他の応募者に差をつけられるよう、逆質問には、課題の深堀りとなるような質問ができるとよいです。
例えば、
「◯◯業界を調べていく中で、今後の課題は◯◯と考えますが、その認識は正しいでしょうか?もしも他にも課題に感じられていることがあれば教えて頂けますでしょうか?」
などは、好印象です。
面接前日までの準備
提出書類の内容を再確認
既に企業へ提出した職務経歴書、履歴書、その他指定書類(志望理由書や自己PR書)の写しは、事前に目を通しておきましょう。
複数の企業へ書類を応募している場合、企業ごとに書いている内容をカスタマイズしていることと思います。
提出書類と受け応えの内容に齟齬が生じないようにする必要があるためです。
質疑応答の作成
事前に想定する質疑応答を作成しておくことで、受け応えに詰まることのないよう、スムーズな回答ができるようにしておきます。
僕の場合、社会人になってからというもの、面接を受けるという機会はほぼありませんでした。
面接に自信がなかったので、質疑応答を50〜60くらい作成しました。
質疑応答を作成することにより、考えに矛盾が生じていないかのチェックにもつながります。
企業HPの確認
余裕があれば、企業のHPに目を通し、代表取締役の名前や企業理念、最近の動きなどを抑えておくと良いでしょう。
面接後の記録
もうひとつ、重要なことがあります。
それは面接後、記憶が鮮明なうちに、面接官の人数や面接の雰囲気、聞かれた内容、反省点などをメモして記録することです。
面接のできが良かったとしても悪かったとしても、今後の面接につなげる貴重なデータとなるからです。
面接後は、疲れて大変ではありますが、簡単にでもメモを取るようにしてください。
公務員から民間企業へ転職するために必要な面接対策
公務員と民間企業の面接の違いを理解する
公務員試験の面接は、人物評価や志望動機の一貫性が中心でした。
一方、民間企業の面接は「会社に利益や成果をもたらせる人材か」を重視します。
つまり「安定感」だけでは評価されにくく、「成果を出せる再現性」「変化に柔軟に対応できる力」を具体的に語れることが必要です。
自分の経験を“数字”に置き換える
公務員の仕事は成果が目に見えにくいものが多いですが、面接で評価されやすいのは定量的な実績です。
例えば以下のように言い換えてみましょう。
- 住民対応 → 「窓口待ち時間を平均30%短縮」
- 制度改正への対応 → 「新制度導入を庁内15部署と調整し、予定通り施行」
- 予算執行管理 → 「年間予算◯億円を誤差なく執行」
このように数字や成果物で語ると、民間の面接官にも伝わりやすくなります。
STAR法でエピソードを準備する
多くの企業では「行動面接」と呼ばれる形式を取り入れています。これは、過去の行動から再現性を測る手法です。
回答のフレームワークとしておすすめなのが STAR法 です。
- S(Situation):状況は?
- T(Task):課題は?
- A(Action):自分は何をしたか?
- R(Result):結果はどうなったか?
面接前に3〜5つのエピソードをSTAR法で整理しておくと、どんな質問にも説得力を持って答えられるようになります。
転職理由と志望動機を一貫させる
公務員からの転職では「なぜ安定を捨ててまで転職するのか?」と必ず問われます。ここで曖昧な答えだと、「すぐ辞めてしまうのでは」と不安視されます。
効果的なのは次のストーリーラインです。
- 現職で学んだこと(強みとして語る)
- 限界や課題(否定ではなく“次の成長”のために)
- 応募先で活かせる点(貢献イメージを具体的に)
この3段階をつなげて一貫性のあるメッセージを伝えることが大切です。
逆質問で「入社後の活躍」を示す
面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか?」は評価のチャンスです。
おすすめは以下のような質問です。
- 「このポジションの成功指標は何ですか?」
- 「入社後3か月で期待される成果はどのようなものですか?」
- 「チームの目標達成のために自分が最初に取り組むべきことは何でしょうか?」
逆質問を通して「入社後の貢献意欲」をアピールできれば、印象が大きく変わります。
非言語のポイントも意識する
民間企業の面接では、第一印象も重視されます。
- 姿勢・表情・声のトーン
- 端的で論理的な話し方
- オンライン面接では背景や照明の整え方
こうした基本を押さえるだけでも「一緒に働きたい」と思われる可能性が高まります。
転職エージェントを活用する
公務員からの転職では、民間企業の求人情報や選考基準が見えにくいものです。そこで頼りになるのが転職エージェントです。
- 公務員出身者を採用した実績のある企業を紹介してもらえる
- 面接対策や職務経歴書の添削を受けられる
- スケジュール調整や条件交渉も代行してもらえる
特に初めての転職活動では、自分だけでは気づけない弱点を指摘してもらえるため、効率的に準備を進められます。

公務員から転職の面接対策でよくあるQ&A
Q1. 面接準備は何から始めればよい?
A. まずは「企業研究」と「自己分析」が基本です。
- 企業研究では事業内容や直近のニュース、競合環境を把握しましょう。
- 自己分析では、公務員として培った経験(調整力、法令遵守、正確な事務処理など)を棚卸しし、民間でどう活かせるか整理することが重要です。
Q2. 志望動機はどう答えればいい?
A. 公務員から転職する場合、「安定を捨ててまで挑戦する理由」を必ず聞かれます。
単なる待遇や不満ではなく、**「自分のキャリア目標と企業の方向性が合致している」ことを示しましょう。具体的なエピソードを添えると説得力が増します。

Q3. 自己PRはどのように伝えるべき?
A. 公務員は「縁の下の力持ち」として働いてきた方が多いため、実績を数字で表すのが難しいと感じるかもしれません。そこで有効なのがSTAR法(状況→課題→行動→結果)。
例えば「地域住民との合意形成」「大規模事業の調整」などを具体的に語り、成果や学びを伝えると評価されやすくなります。

Q4. 面接当日のマナーは?
A. 対面の場合は「会場10分前到着・受付5分前」が基本。
服装はスーツで問題ありませんが、カジュアル指定の場合はオフィスカジュアルを意識しましょう。オンライン面接では、カメラ位置・背景・音声チェックを事前に行うことが必須です。
Q5. 逆質問では何を聞けばいい?
A. 「入社後の仕事内容」「評価制度」「活躍している社員の特徴」など、働き方の具体像を深掘りできる質問が効果的です。
福利厚生や給与だけを中心に聞くのは避け、前向きな姿勢を示すのがポイントです。
まとめ
公務員からの転職面接では、「再現性」と「継続性」を具体的に示すことが重要です。
数字やエピソードで成果を伝え、志望動機と転職理由を一貫させれば説得力が増します。
また、逆質問や非言語の印象も評価に直結します。事前準備と振り返りを重ねれば、面接は必ず上達します。今日から準備を始め、自信を持って面接に臨んでください。
以下の記事では、転職活動の流れや転職活動で強力なサポートとなる転職エージェントについてをまとめていますので、併せてご覧ください。



コメント